NPO法人 東北どまんなか(八重樫哲哉)
NPO法人東北どまんなか
(八重樫哲哉)岩手県北上市

飯豊の里で九代続く米農家
地域を照らすNPO理事長
八重樫哲哉さんは岩手県北上市飯豊地区で約3ヘクタールの水田を耕作する九代目の米農家であり、NPO法人東北どまんなかの代表理事を務めています。
飯豊地区は「飯が豊か」と書くように古くから稲作が盛んな地域で、北上川の清流と奥羽山脈の伏流水が豊かな土壌を育んでいます。先祖が江戸期から守り続けてきた田んぼを継ぎ、次の世代に残すための新しい米作りの方法を構築することが彼の使命です。
かつては農業が嫌いだったと語る八重樫さんですが、米・食味分析鑑定コンクールで金賞を受賞したことで米作りの奥深さに目覚め、岩手の農業を元気にしたいとの思いから2018年にNPO法人を設立しました。

音楽と科学を融合した独自の栽培法
ミルキークイーンが輝く理由
八重樫さんの米作りは、伝統に科学的工夫を重ねた独自の方法で知られています。
苗の植え付けは通常より株間を広く取る「疎植(そしょく)」で、稲一本一本がゆとりを持って育つようにしています。田んぼの四隅には炭を設置して水を浄化し、冬季は雪の下でも水を張ったままにすることで微生物の働きを高めます。
また作業中はモーツァルトの音楽を流し、稲にストレスの少ない環境を整えるユニークな試みも行っています。
これらの取り組みにより、彼の栽培するミルキークイーンやイセヒカリは米・食味分析鑑定コンクール国際大会などで幾度も金賞に輝き、炊きたてはもちろん冷めても美味しいと高い評価を受けています。

岩手の農と食を未来へつなぐ
NPO活動と地域貢献
八重樫さんが設立したNPO法人東北どまんなかは、「自然と大地を荒らしてはいけない」という理念のもと、岩手県産農産物の情報発信や販路拡大、農家への技術指導や研修会の開催、食味鑑定や商品検査などを行っています。
自身の米作りで培った経験を生かし、家族経営の小規模農家が自信を持って持続可能な農業を続けられる仕組みづくりを目指しています。北上市役所を訪問した際には「もっと多くの人にお米のおいしさを知ってほしい」と語り、消費拡大や耕作放棄地の活用にも意欲を示しました。
九代目として受け継いだ田んぼを守りつつ、岩手の農業に革新をもたらす八重樫さんの挑戦は続きます。


