つじ農園(辻武史)
つじ農園(辻 武史)三重県津市
1000年続く稲作集落への恩返し
辻さんの田んぼは三重県津市北部に位置し、1000年前から米作りしていた記録が残る歴史ある地域。人も気候も穏やかで、水系にも恵まれた農業にはぴったりの地域。エンジニアとして活躍していた辻さんは、生まれ育ったこの地で「発展的な恩返し」がしたいと決意し、就農。品質管理や販売企画、マーケティングなどこれまで培ってきた知見を生かしながら、手探りで米作りをスタートさせました。辻さんは自然と共生し、自立した生産を目指して試行錯誤を繰り返しているといいます。
新しい技術で伝統を守る
栽培においては、なるべく地域資源を活用することを心がけ、廃棄される籾やクズ大豆、地元の醤油蔵から出る醤油を絞った醤油かすなどを肥料として使っています。またドローンやIOT技術など新しい技術を積極的に活用し、品質を維持向上させるための取り組みをしております。有機栽培の技術と新しいアグリテックを融合させて、古くから引き継いできた農業をを守り、その発信地にしていきたいと辻さんは語ります。また、最近では同じく三重の銘酒である「而今」を醸造する木屋正酒造からの依頼で有機栽培の山田錦を生産し、三重の地域を表現するようなお酒を造ろうという試みがスタートしました。この取り組みには三重大学生物資源科学部の関谷研究室も参画し、土壌の栄養素の変化を適切に把握することで良質なお米作りを支援しています。
ホッとしてもらえるお米を作りたい
この地域で農業を辞めてしまう方が増えています。預かった土地でお客様に納得していただくお米を作るには、経験や勘だけでは追いつきません。試行錯誤してきた農法と先人の知恵、新たな技術をミックスさせ、高品質なお米を安定的に作っていくことで、この地域に貢献していきたい。お客様と1対1の関係を大切に、ホッとしてもらえるようなお米を作りたいと話してくれました。辻さんは「無限めし祭り」というイベントも毎年開催しており、お米をより楽しんでいただけるような発信も続けています。