神子の里(武藤一樹)
神子の里(武藤一樹)石川県羽咋市

美しい棚田が生み出すローマ法皇献上米
神子の里さんの田んぼがあるのは、石川県羽咋市神子原町。山間部に位置し、碁石ヶ峰や石動山からのミネラル豊富な伏流水を利用し、壮大に広がる棚田で丁寧な米作りを続けています。先祖代々守ってきた土地は、かつて江戸幕府にお米を納める天領地とされており、昔から味の良いお米が取れる産地とされてきました。2005年にはローマ法皇に献上したことがきっかけでドラマ化され、全国に神子原のお米を待つファンがいるといいます。神子原米は地域の有志により厳選された田んぼと、厳しい品質基準をクリアしたお米だけが「神子原米」と名乗ることを許されています。

量より質。厳格な基準で守りつなげる米作り
厳しい品質基準を設けている神子原米は全て棚田で生産され、収穫量は毎年500俵ほど。大産地と比較すると非常に小規模ではありますが、ここにうまさの秘訣があるといいます。山から流れる水には間に民家がないため、生活排水が混ざることはありません。また、量ではなく味に重点を置き、面積あたりの収量にも厳しい制約を設けています。11軒の農家が一丸となり、毎年栽培指針を協議することで品質を維持向上させ、世界農業遺産にも選ばれた棚田の美しい景観を守り繋げていく活動も進めています。

世界農業遺産にも選ばれた美しい景観
神子原で穫れたお米は、やや小粒ながらプリッとした食感で、しっかりと甘さが詰まったお米だと語る代表の武藤さんは、世界農業遺産、棚田100選に選ばれたことのある神子原をさらに発展させていくことに強い責任感を持っているといいます。条件的に不利な面もあり、高齢化や耕作放棄地など様々な問題を抱える神子原をいかに守り、次の世代へ繋げていくか。この地への執念を燃やし、お米の生産・販売だけでなく、活性化の拠点となるよう視野を広く持って活動していきたいと話してくれました。