オーガニック米や有機栽培米は、安心・安全で健康に良さそう!というイメージが強いですよね。
でも、オーガニックは「高い」からなかなか手が出せない…という方も多いのではないでしょうか。
オーガニック米(有機栽培米)と他のお米の何が違うのか、どこに魅力があるのかなどについて、お話してみたいと思います!
目次
そもそも、オーガニックとは?有機と何が違う?
オーガニック米をはじめとする食品に限らず、化粧品、衣類、ライフスタイルなど、「オーガニック(Organic)」という言葉は様々なシーンで使われていますよね。
オーガニックと有機は、基本的には同じ意味です。
オーガニック(Organic)は英語で「有機の」「有機体の」という意味をもつ言葉です。
“化学合成農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料などにより土壌の力を活かして生産された”
という意味で使われています。
また、似たような意味の言葉で「Bio(ビオ)」がありますが、こちらはフランス語のビオロジック(Biologique)の略で、Organicや有機と同じ意味です。
ヨーロッパではオーガニックより、「BIO」という言葉が使われることが多いです。
ただし、国によって“有機”であることを認証する基準や、範囲などは異なります。
(例)
・日本…有機JAS規格 ≪農林水産省≫
・アメリカ…米国有機制度(NOP=National Organic Program)≪米国農務省(USDA)≫
・ヨーロッパ…EUオーガニック認証≪欧州委員会(Europian Commission)≫
・オーストラリア…オーストラリア認定オーガニック(ACO=Australian Certified Organic)
日本の有機JAS認定では、認定の範囲は
・農産物
・加工食品
・飼料
・畜産物
・藻類
の範囲に限られていますが、きちんと基準・規格を満たしたものに有機JASマークが付いているため、正しい判断の目印になります。
参考:農林水産省HP 有機食品の検査認証制度https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
参考文献:林 美穂「はじめてのオーガニック手帖」 株式会社メディアパル 2014年10月横田 哲治「オーガニック食品のことがわかる本」株式会社日本実業出版社 2000年4月
オーガニック米(有機栽培米)とは。無農薬米との違い
【オーガニック米(有機栽培米)】
オーガニック米(有機栽培米)とは、その名の通り、一般的な農薬(※)や化学肥料などを使わず、有機栽培によって作られたお米のことです。
生態系に配慮した栽培を行い、雑草や害虫などから稲を守るために、アイガモ農法や、鯉を泳がせるなどで育てることもあります。
オーガニック米と他のお米との見分け方は、有機JASマークの有無です。
有機JAS規格を満たすお米にのみ、有機JASマークをつけることができます。有機JAS米と呼ばれることもあります。
(※)有機JAS規格では、一部の農薬については、使用が許可されています。
【無農薬米】
無農薬米とは、その名の通り、農薬を全く使用せず作られるお米のことです。
農薬を使わずに育てるのは、雑草や害虫対策が難しく、非常に手間がかかります。生産者さんが手塩にかけて育てているお米です。
ただし、無農薬米については、有機JASのような厳格な規格や規定があるわけではありません。
農薬は不使用でも、肥料については有機に限らず化学肥料でも “無農薬米”と名乗ることはできる、といった点も念のため知っておくと、判断の助けになります。
“有機無農薬米”となっていれば、無農薬&有機肥料で栽培されたお米ということになりますのでより安心です。
また、最近注目されている「自然栽培米」も、無農薬米に含まれます。
有機栽培米と特別栽培米の違いについてはこちら→有機栽培米と特別栽培米の違いを知っていますか?
有機栽培、自然栽培、慣行栽培の違い
有機栽培米と混同されがちな、「自然栽培米」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
また、生産者でなければあまり聞きなれない「慣行栽培」という言葉もあります。
それぞれの違いについて、かんたんに表にまとめました。
農薬 | 肥料 | 耕起 | 除草 | |
有機栽培(有機JAS規格) | △※1 | ○有機肥料のみ | ○ | ○ |
慣行栽培 | ○ | ○化学肥料可 | ○ | ○ |
自然栽培 | × | × | × | × |
※1 有機JAS規格では、一部の農薬については使用が許可されている
自然栽培については、現段階では特に規格や認証は必要ではないので、自己申告によるものになっていますが、生産者さんの強いこだわりと、信頼関係の上で成り立っています。
自然栽培米についてのコラムはこちら→自然栽培米を知っていますか?
有機栽培米、特別栽培米、慣行栽培米についてのコラムはこちら→お米の栽培方法による区分の違い
オーガニック米のメリット
オーガニック米や有機栽培米と聞いてみなさんがイメージするのは、「安心・安全」「身体に良い」といったことではないでしょうか。
オーガニック米を選ぶことによるメリットについて、考えたいと思います。
①農薬や化学物質の摂取を減らすことができる、安全性が高い
②安心感
③味
④人や環境への配慮、心地よさ
①農薬や化学物質の摂取を減らすことができる
オーガニック米(有機栽培米)を選ぶことで、通常の栽培方法のお米と比べて、身体に入る農薬や化学物質が少なくて済むというメリットがあります。
特に、体質や年齢(アレルギー体質の方や乳幼児など)、妊娠中、授乳中など、農薬や化学物質のリスクが気になる方や影響を受けやすい方には、大きなメリットになると思います。
また、消費者目線ではあまり意識しないことですが、お米を育てている生産者さん自身も、農薬を扱う機会が減ることで、過剰摂取のリスクを回避することに繋がると思います。
消費者が食品に残った農薬を摂取する量と、生産者さんが農薬を直接扱うことによる影響力ではかなり違いそうですよね。実際に有機栽培を始められたきっかけが、「身体を壊したから」という声もよく聞かれますので、ひとつのメリットだと思います。
②安心感、安全性が高い
食の「安心・安全」という言葉はよく耳にし、安心と安全はひとくくりになっていることが多いですが、
安心=心情的なもの。主観的なもの。安全であると信じている状態。
安全=科学的に評価のうえ、客観的に得られるもの。
と、その持つ意味合いは異なります。
オーガニックや有機栽培米に関心の高い方は、健康や食の安心安全への意識が高く、リスクを少しでも減らすことによる「安心感」や、「安全性の高さ」は、何にも代えがたいメリット・付加価値だといえます。
栄養価については、特に有機栽培のお米が普通のお米よりも栄養価が優れているというエビデンスはないようですが、研究が進められている分野です。
③味
味については、その年の気候や生産者さん、銘柄、個人の好みによるところも多く、ひとくくりに有機栽培米とそのほかのお米を比べることはできません。
しかし、有機栽培により手間暇をかけて育ったお米は、「お米本来の味がする」と表現されることも多く、食味の面でもファンが多いのもまた事実です。
④人や環境への配慮、心地よさ
オーガニックのものを選択することは、健康への配慮だけでなく、“環境をたいせつにし、自然と共に調和を取りながら生きる”というような意味合いも含まれています。
むしろ、大きい目で見れば、そちらの意味合いのほうが強いのかもしれません。
国際的に有機農業推進活動を行っているIFOAM(国際有機農業運動連盟) は、オーガニックの原則として、
・生態系
・健康
・公正
・配慮
の、4項目を掲げています。
オーガニック(有機)は、安全性を確保し、人が健康であることを目的とするだけでなく、
環境や自然に配慮したり、格差や児童労働、植民地栽培をなくすなど、地球全体をとらえて調和を図るという目的も含まれています。自分だけでなく広い目で世界をとらえたときに、「心地よい」選択をすることは、心情的にも日々を豊かにしてくれる、大きなメリットですよね。
消費者がオーガニックのものを支持することで、農業もよりサステナブル(持続可能)な方法が選ばれるようになると思います。
参考:中川 祥治, 田村 夕利子, 緒方 善丸 有機および慣行栽培米の品質特性の比較 日本作物学会紀事 2000年69巻 1号 p.31-37https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcs1927/69/1/69_1_31/_pdf/-char/ja
参考文献:水野 葉子 「オーガニック検査員・水野葉子の「家族と食べたい!」東洋経済新報社 2011年10月
オーガニック米のデメリット
①価格
②栽培が難しい(生産量が少ない、安定しにくい)
③必ずしもケミカルフリーではない
④本当に体に良いのかは、はっきりとしたエビデンスが出ていない
①価格
価格だけに注目すると、オーガニック米は高価な傾向にあります。
農薬や化学肥料に頼らず、オーガニック米を育てるには、肥料などのコストはもちろん、膨大な手間暇がかけられています。
価格を比べると確かに高いと感じるかもしれませんが、育ててくれている農家さんのことや、自然への配慮を想うと、見え方が変わるのではないでしょうか。
②栽培が難しい(生産量が少ない、安定しにくい)
オーガニック米は、自然の力を引き出して育てるお米のため、天候などの自然要因に左右されやすく、収穫できる量が安定しにくいといった面もあります。
また、有機肥料も自然のものを使用すると、同じ量を撒いてもその時々で土の様子も変わるため、見極める力など、熟練した技術も必要になります。
栽培が難しいといった点も、価格が高くなりやすい要因でもあります。
③必ずしもケミカルフリーではない
有機栽培であることを表す有機JASマークがついているものでも、有機JAS規格では一部の農薬の使用は許可されています。
オーガニック米(有機栽培米)だからといって、完全にケミカルフリーというわけではありませんが、当然その量は少なく、リスクは低いといえます。
そして、農薬や化学肥料を使用しているお米でも、現在使用が認められているものに関しては、人体への安全性が確認されているものに限られているため、一概に身体に悪いとは言えません。
気になる方は、「残留農薬不検出」などの検査を受けているものだと、より安心していただくことができますね。
④本当に体に良いのかは、はっきりとしたエビデンスが出ていない
お米に限らずですが、オーガニック(有機)のものが、通常のものと比べて健康に良いといった十分なエビデンス(根拠)は、実はまだでていないようです。栄養価も、有機栽培米のほうが高いといったエビデンスはないようです。
食品研究の難しさでもありますが、健康であることは様々な要素の総合で決まるため、ひとつのことを単純比較しにくい側面があります。
農薬や化学物質が人体に悪影響であるかといったことも、実際にヒトで実験することは難しいため、動物実験の結果により、厳しく安全基準が設けられています。
これらについてどう捉えるかは、個人に委ねられているのが現状です。
参考文献:林 英恵「健康になる技術 大全」ダイヤモンド社 2023年2月
オーガニックはからだに良い?農薬は身体に悪い?
オーガニック(有機)は「身体に良い」といったイメージがありますが、先ほどもあったように、その件に関する確固たるエビデンスは少ないのが現状です。
では、農薬は、身体に悪いのでしょうか?
このように、日本では国が認めた基準に基づいて、健康を損なう可能性が低く、安全性を確認できたものに関して、農薬の使用が許可されています。
農薬が身体に悪い、と一概には言えないですが、その量などには気を付ける必要があるということですね。
また、農薬は、使用による環境への負荷も大きな問題のひとつです。
摂りすぎなければ、“人にとっては”良いものでも、自然にとっては負担の大きいものなのでしょう。
「安い」お米、「高い」お米? 食品の選び方、本当のコスパとは
物価の高騰で、食品のみならず生活費全般がどんどん値上がりしていて、今まで以上に何にどれくらいお金をかけるのか?という点を考える機会も多いと思います。
食品を選ぶときの基準はどういったことでしょうか?
・おいしさ
・価格
・産地
・鮮度(賞味期限や消費期限)
・栄養価
・安心できるもの
・原材料やどんなふうに作られたか
・利便性や時短性
など…
色んな要素をかけあわせ、総合して判断していると思いますが、あなたにとって優先順位が高いのはどんなことでしょうか?
スーパーなどで当たり前に手に入るお米ですが、価格や味を見比べることはあっても、そのお米がどこでどんな風に作られたものなのか、考えてみる機会はあまりないかもしれません。
しかし、そのお米がどんな人がどんな環境で、どんな想いで、どんな風に作られているものなのかに想いを馳せ、
「大切な人にも食べさせたいと思う」
「身体をたいせつにする」
「環境にやさしい」
「本当においしいと思える」
「納得して、安心して食べられる」
など、オーガニックのお米を選ぶことで得られる「心地よさ」は、日々の生活を豊かにしてくれるもののひとつだと思います。
とはいえ、オーガニックは「高い」から手が出せない…
というのもとてもよく分かります。
現状、普通の食品とオーガニックの食品では価格差がかなり大きく、普段見慣れている食品が安いこともあり、健康への意識が高くてもなかなか手が出ないという方も多いと思います。
でも、安いものが、どうして安く売れるのか、考えたり調べてみたりすると、ちょっと怖くなるのも事実です。知らぬが仏という方もいるかもしれませんが、自ら調べて知識をつけた上で判断することで、自分を守ることにもつながります。
また、少し別の視点から、食費の一部として出費しているもの、
例えば手軽さに魅かれて健康のためにと購入している「サプリメント」は、本当に身体によくて、普段の食事を整えることよりも優先順位の高いものなのか。
リフレッシュや休息のためには不可欠!と、つい買ってしまうスイーツやスナック菓子、ペットボトル飲料などで、本当に心が満たされているのか。
などを考えてみるのもよいかもしれません。
栄養のことを考えるときには、「完全栄養食」や「不足しがちな○○」というように、プラスしたり補うことに着目することが多いのですが、実は「身体に負担になるものをできるだけ摂らない」ことはそれと同じくらい重要です。
価格だけを見て「高い」と感じるものでも、長い目で見て健康で豊かな日々が送れる選択であるのであれば、それはコスパが悪いでしょうか?
身体を壊して病院に行ったり、薬を買うお金と、おいしく健康に投資するお金と、どちらが幸せな使い方でしょうか。身体が悲鳴を上げるまでには、それまでの長い食習慣や生活習慣が関わっているので、なかなか気付けないのが怖いところですね。
有機栽培米を選びたいけれど、何を選んだらいいのかわからない…おいしい有栽培機米に出会えない…という方はぜひ、こちらのページを覗いてみてください。
ツナギの有機栽培米は、作り方はもちろん、味にもこだわって厳選したものだけをご紹介しています!
生産者さんのお顔がわかるのも安心ですよね。
一般的な通販サイトの有機栽培米と比較しても、お茶碗1杯+60円程度で、ほんとうにおいしい有機栽培米に出会えると思います!
オーガニックを選べば万事解決ではありませんし、全てをオーガニックにしなくてもよいと思います。
自分にとって大切なことや、優先順位を改めて考え、無理なく、何より楽しく!食品選びができるといいですね。
すべては難しくても、主食であるお米をおいしい有機栽培米にするという選択は、手軽でまいにちを豊かにしてくれそうです。
You are what you eat.
「あなたはあなたが食べたものでできている。」
ということわざがありますが、その言葉の通り、私たちは自分が選択して食べたもので作られています。
また、身体そのものだけでなく、食はこころの豊かさにも直結しています。
その人がその時々に「食べたい」と思うものが何かは、心の状態も表していると思います。
自分にできることを、できる範囲で。
食への投資は、未来への価値ある投資だと確信しています!
おすすめの有機栽培米
(有機栽培米)笠原農園さんの
新潟県南魚沼市産コシヒカリ
美味しいお米の産地として有名な魚沼。その中でも特に食味評価が高い地区が南魚沼です。粘り・ツヤ・甘み・香りと、どれをとっても申し分ないお米が採れる地域です。その地で有機栽培で育んだお米です。米食味分析鑑定コンクールでダイヤモンド褒賞を受賞した匠の作る逸品です。
中道農園(中道唯幸)さんの滋賀県野洲市産
コシヒカリ(JAS有機栽培米)
中道農園の「有機栽培コシヒカリ」は、もちろん完全無農薬栽培。6年以上もの間、農薬を使っていない田んぼで肥料を使い、丁寧に栽培しました。肥料は、人が食しても安全なものを基準に厳選。米ぬか、大豆、お酢、にがりなどを使用し、もっと安心・安全なお米に、そして美味しいお米が実りました。
金谷農場(金谷武志)さんの新潟県上越市産
コシヒカリ(従来・JAS有機栽培米)
農薬や化学肥料を使わずに育てた有機栽培米。米糠や籾殻、醤油粕等の、地域資源を活かした自家製堆肥をはじめ、こだわりの有機質肥料とミネラル肥料を贅沢に施し、滋味豊かな、おいしいお米を作っています。