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お米コラム

新米の失敗しない選び方|お米マイスターが教える、自分に合った新米の見つけ方

             

秋の気配が感じられるようになると、お店の棚には新米の文字が誇らしげに並び始めます。この時期ならではの贅沢を心待ちにしている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざお米を選ぼうとすると、どれを選べば良いのか迷ってしまうという声をよく耳にします。
今回はお米マイスターの視点から、それぞれの暮らしにぴったり合う新米を見つけるための選び方をご紹介します。

土鍋で炊いた新米のイメージ

 

新米の失敗しない選び方|自分に合うお米を見つけるポイント

お櫃に入った新米のイメージ

そもそも新米とは?
新米という言葉は、食品表示基準によって明確な定義が設けられています。
秋に収穫されたお米は、その年の12月31日までに精米や包装されたものだけが新米と表示して販売することができます。つまり、品種や地域によって新米と表示できる期間の長さは異なりますが、収穫されたばかりの、最も新鮮な状態のお米を指す言葉です。
新米ならではの魅力は、何といってもその豊かな水分量と香りにあります。炊き上がったお米は一粒一粒が美しく輝き、口に含むと心地よい弾力とともに、優しい甘みがじんわりと広がります。のどを通り過ぎた後も、お米本来の柔らかな余韻がかすかに残り、おかずがなくても箸が進んでしまうような力強さを持っています。

 

新米選びでよくある失敗とは?

お客様のお話を伺っていると、新米選びで少しだけ遠回りをしてしまっているケースによく出会います。代表的な3つの失敗例を見てみましょう。
一つ目は、有名品種だけで選んでしまうことです。メディアでよく見かける銘柄や、評価が高いとされるお米を選べば安心と考えがちですが、お米の好みは人それぞれです。
もっちりとした強い粘りが好きな方が、上品であっさりとした有名品種を選ぶと、どこか物足りなさを感じてしまうことがあります。
二つ目は、価格だけで選ぶことです。高級なお米がすべての人の口に合うとは限りません。毎日の食卓で気兼ねなくたくさん食べたいときには、手頃な価格で飽きのこないすっきりとした味わいのお米のほうが、生活に馴染むこともあります。
三つ目は、食べ方を考えずに選ぶことです。お肉中心のがっつりとしたおかずが多いご家庭と、お魚や煮物などの優しい和食が多いご家庭では、相性の良いお米の性質が異なります。普段の暮らしの風景を思い浮かべながら選ぶことが、満足度の高いお米選びへの第一歩となります。

 

味や食感から選ぶ新米の選び方

お米の好みのイメージ

お米の味わいは、主に甘み、粘り、粒感のバランスによって決まります。ご自身やご家族がどのような食感を心地よく感じるか、好みのタイプから探してみるのがおすすめです。

甘みを重視したい方へ

お米の甘さは、お米の主成分であるデンプンが、口の中で唾液中の酵素と交わることで、豊かな甘みへと変わっていきます。
そのため、しっかり噛むほどに濃厚な甘みを楽しみたい方は、甘さが強く感じられる品種や、じっくりと実る時期に昼夜の寒暖差が大きい地域で育てられた品種を選んでみてください。代表的なものとしては、山形県産の「つや姫」や、北海道産の「ゆめぴりか」などが挙げられます。
おかずを口にする前に、まずお米だけでじっくりと噛み締めたくなるような、じんわりとした甘みを堪能できます。

 

佐藤ファームさんの山形県米沢市産つや姫(特別栽培米)

佐藤ファームさんの
山形県米沢市産つや姫(特別栽培米)

山形県が10年の歳月をかけ開発した品種がつや姫です。コシヒカリの血を引いているため、粘りと弾力があります。大粒で粒立ちがよく、鼻に抜ける香りがよく、豊かな甘みを感じます。

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粘りを重視したい方へ

もっちり感があり、粘りの強い品種が好きな方には、「コシヒカリ」や「ミルキークイーン」がおすすめです。お米のデンプンに含まれる「アミロペクチン」というデンプンが多いほど、粘りが強くもっちりとした食感を感じられます。
水分をしっかりと保持する力があるため、箸で持ち上げたときにも独特のまとまりがあり、口の中で心地よい弾力を生み出します。

あおきライスファーム山形さんの山形県南陽市産ミルキークイーン(特別栽培米)

あおきライスファーム山形さんの
山形県南陽市産ミルキークイーン(特別栽培米)

ねっとりとした粘りが濃密で噛むほどに徐々に甘さが増し、冷めても美味しいお米です。水加減を通常より1割程度少なくして炊くと、その粘り・弾力・ツヤなどが特に際立ちます。

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あっさり系を重視したい方へ

毎日の食事でさらりと食べ進めたい方や、お米自体の主張が強すぎない上品な味わいを求める方には、あっさりとした品種が向いています。古くから愛される「ササニシキ」や「ハツシモ」などが代表例です。
粘りが控えめなため、食事全体のバランスを調和させる引き立て役として優れたお米です。

ヤマチョウ(佐々木大作)さんの秋田県にかほ市産ササニシキ(自然栽培米)

ヤマチョウ(佐々木大作)さんの
秋田県にかほ市産ササニシキ(自然栽培米)

鳥海山の麓。自然豊かな美しい環境で、育苗土から手作り、肥料・農薬・除草剤を使わず丁寧に育てました。心から安心して食べられるものを届けることを第一に考え、全て自然栽培で米作りをしています。冷めても美味しいササニシキをぜひご賞味ください。

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粒感を重視したい方へ

お米の粒が口の中で心地よく解ける感覚や、しっかりとした噛み心地を楽しみたい方には、粒感を重視した品種が最適です。大粒で存在感のある「新之助」や、「にこまる」などがこれにあたります。
一粒一粒の輪郭がはっきりしているため、噛んだときに心地よい存在感を感じることができます。タレや汁気のあるおかずと合わせても食感が崩れにくく、豊かな噛みごたえを提供してくれます。

東山ファーム(原直治)さんの新潟県糸魚川市産新之助

東山ファーム(原直治)さんの
新潟県糸魚川市産新之助

特徴ある大粒でツヤがあり、食べてみるとその豊かな甘味とコクが口の中に広がります。一口食べるだけでいつものお米との違いがはっきりと分かります。

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用途別におすすめの新米の選び方

次に、どのようなシーンで、どんなおかずと一緒に食べるかという用途の視点からお米を絞り込んでいきましょう。日々の暮らしの具体的な場面を想像してみてください。

毎日の食卓

家族みんなで囲む毎日の食卓には、飽きのこないバランスの良いお米が重宝します。「ひとめぼれ」や「あきたこまち」は、程よい粘りと甘みがあり、どんなおかずにも柔軟に寄り添ってくれる万能な品種です。様々なメニューが並ぶ日本の家庭の定番として、長く愛され続ける安定感があります。

お弁当やおにぎり

お弁当やおにぎりをつくる機会が多い場合は、冷めても硬くなりにくく、もっちり感が持続するお米を選びましょう。「ミルキークイーン」などの低アミロース米や、「コシヒカリ」「つや姫」などがこれに適しています。時間が経ってもパサつかず、しっとりとした美味しさと柔らかな食感を楽しむことができます。

和食との相性

出汁の風味を大切にする和食、例えば焼き魚や季節の煮物などと合わせるなら、「ササニシキ」や「日本晴」のような上品であっさりとしたお米が美しく調和します。おかずの繊細な味わいを邪魔することなく、お互いの良さを引き立て合う素晴らしい相性を見せてくれます。

丼ものやカレーとの相性

牛丼や親子丼などの丼もの、あるいはカレーライスには、少し硬めで粒がしっかりとしたお米が最適です。岐阜県産の「ハツシモ」や、粒が大きめでしっかりとした食感を持つ「新之助」などは、タレやルーが染み込んでも潰れにくく、心地よい粒感を保ちます。

 

購入時にチェックしたいポイント

お米の産地のイメージ

品種と産地

お米の袋には、一括表示欄という品質を示すラベルが必ず貼られています。そこに記載されている単一原料米という表記と、品種名、産地を確認しましょう。同じ品種であっても、地域の気候や生産者の違いなどによって味わいに微妙な変化が生まれます。
お米マイスターとしておすすめしたいのは、気になるお米を見つけたら、まずは2kgほどの小さなサイズで購入してみることです。実際に家で炊いてみることで、各家庭の炊飯器との相性や、家族の好みに合うかどうかを気軽に試すことができます。

精米時期と保存状態

お米の美味しさを左右する非常に重要な要素が、精米時期です。お米は野菜と同じ生鮮食品です。精米した瞬間から少しずつ酸化が進み、風味が変化していきます。
そのため、購入する際はできるだけ精米日が新しいものを選んでください。目安としては、購入してから2週間から1ヶ月程度で使い切れる量を選ぶのが、新米の素晴らしい香りと味わいを楽しむための秘訣です。また、お店の売り場が直射日光の当たらない、涼しい場所に保管されているかどうかも、お米の健康状態を知る手がかりになります。
さらに、生産者から直接購入できる場合は、適切な温度と湿度の環境で保存しているお米を、出荷時に精米したてで送ってくれる場合が多いので、産直通販を活用するのもおすすめです。

 

お米マイスターが考える「失敗しないお米選び」

私たちがお客様にお米を提案するとき、最も大切にしているのは、そのお米がその人の暮らしに合っているかです。
実際に、小さなお子様をもつお母様からご相談をいただき、もっちり感と甘さのある「ミルキークイーン」をおすすめしました。すると、「子どもが美味しいと喜んでおかわりをしてくれました」と、後日嬉しい報告をいただき、今でも毎月ミルキークイーンを購入してくださっています。
ほんの一例ではありますが、このように、食べる人の年齢や、その時期の体調、さらには季節の移り変わりによっても、体が求めるお米は変わります。高価な品種を選ぶことだけが正解ではなく、今の自分たちの暮らしに心地よくフィットするお米を見つけることこそが、本当の意味での失敗しないお米選びだと考えています。

 

新米を美味しく保存するコツ

お米は湿気と高温に弱く、においを吸着しやすい性質を持っています。そのため、購入時の米袋のままキッチンの下などに置いておくのは避けてください。袋には目に見えない小さな空気穴が開いていることが多く、そこから湿気や虫が侵入する原因になります。
理想的な保存場所は、冷蔵庫の野菜室です。密閉できるプラスチック製の容器や、きれいに洗ってしっかりと乾かしたペットボトルにお米を移し替え、野菜室で保管してください。常温保存よりもお米の呼吸が穏やかになり、新米の鮮度を長く保つことができます。
また、炊飯時の水の量にも少しだけ気を配ってみてください。新米はもともと水分を多く含んでいるため、いつも通りの水加減で炊くと、少し柔らかく仕上がることがあります。まずは炊飯器の目盛りちょうどか、ほんのわずか少なめの水加減で炊いてみて、好みの硬さに調整していくのが、新米を上手に炊くコツです。

関連コラムはこちら→新米っていつまで?実は知らない新米のコト
 

まとめ|一番大切なのは「自分の好みに合うお米」を見つけること

お米選びに迷ったときは、どうぞご自身の直感や、日々の食卓の風景を思い出してみてください。もっちりとしたお米で元気をもらいたい日もあれば、すっきりとしたお米で穏やかに過ごしたい日もあるでしょう。
色々な品種を少しずつ試しながら、これだと思えるお気に入りの一膳に出会えたとき、毎日の食事がさらに愛おしい時間へと変わっていきます。今年の秋は、ぜひあなただけの特別な新米を見つけて、心豊かな食卓を楽しんでみてください。

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編集者プロフィール

小野寺理騎 / 日本米穀商連合会 認定五ツ星お米マイスター

日本米穀商連合会 認定五ツ星お米マイスター   全国各地の美味しいお米を作る生産者を発掘するため、全国各地・年間100軒以上の農家さんを訪問しています。北海道から鹿児島まで200種類以上の食味鑑定を実施しました。産地に行き、直接お話することではじめてわかることが多々あります。お米のバックグラウンドまで美味しく食べていただきたいから、つくり手のこだわりや想いも一緒にお届けしていきたいと考えています。

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