蒸し暑い日が続く、日本の夏。
暑くて食欲がない日にふと浮かぶのは、タイ料理やベトナム料理、インド料理などのエスニックな味。
実は、暑い地域の料理には、蒸し暑い季節をおいしく乗り切る知恵がたくさん詰まっています。
今回は、そんな海外の食文化をヒントに、日本ならではの食材「梅」を使った、夏におすすめのごはんレシピをご紹介します♪
お米は「気(エネルギー)」を補い、胃腸を整える食材。
「気」という漢字が、元は「氣」と書いていたことも納得です。
梅雨が明ければ、厳しい猛暑が見込まれる今年の夏。
日本人の気の源であるお米をしっかり食べて、心身共に健やかに乗り切りましょう。
目次
暑い季節は「食べやすさ」重視の工夫を!
夏バテ対策というと、栄養価の高いものでスタミナをつけるイメージ。
もちろんそれも大切ですが、暑さで食欲が落ちているとき、そもそも食べること自体ができなければ十分な栄養は摂れません。
だからこそ、酸味や香りを上手に取り入れて、「食べやすさ」を意識することが大切です。
食欲がないからと主食を抜いてしまうと、身体を動かすためのエネルギー不足につながります。
ごはんを中心に、肉や魚、大豆製品などのたんぱく質と野菜を組み合わせることで、自然と栄養バランスも整いやすくなりますよ。
夏になるとエスニック料理が食べたくなるのはなぜ?
気温が上がり、食欲が落ちてくる季節に、エスニックごはんがふと食べたくなりませんか?
暑い地域には、その土地ならではの「暑さをおいしく乗り切る知恵」があります。
タイやベトナム、インドなどの料理には共通点があります。
・酸味…レモンやライム、酢、タマリンドなどの爽やかな酸味
・スパイス…クミンやコリアンダーなど香り高いスパイス
・香り豊かなハーブ…パクチーやミントなどの爽やかなハーブ
これらは、単に風味を良くするだけではありません。
暑さで食欲が落ちやすい季節でも、「もう一口」と、自然に食が進むよう、昔から受け継がれてきた食の知恵でもあります。
日本にもまた、梅や味噌、甘酒など、暑い季節を支えてきた食文化があります。
今年の夏は、そんな世界と日本、それぞれの知恵を食卓に取り入れてみませんか。
エスニックに欠かせない調味料タマリンドと、日本の梅干し
「タマリンド」という酸味の効いた調味料をご存知でしょうか。
タマリンドはアフリカ原産のマメ科の果実です。スーパーフルーツとも呼ばれ、クエン酸や食物繊維など、身体にうれしい栄養が詰まった食材です。
≪タマリンドを使う国と代表的な料理≫
【インド】
タマリンドライス(南インドではタマリンドとお米は定番の組み合わせ)
サンバル(野菜と豆の煮込み)
ラッサム(酸味のあるスープ)など
【タイ】
タマリンドソース(魚介類や肉を炒めるソース)
パッタイ(タイの米麺やきそば)など
【ベトナム】
カインチュア(甘酸っぱいシーフードスープ)など
【フィリピン】
シニガン(豚肉や魚介類と野菜の酸っぱいスープ)など
【マレーシア、インドネシア】
スープや炒め物の隠し味など
タマリンドは、酸味が特徴で、甘みとうま味を併せ持った果実。暑い地域の頼れる存在です。
干し柿のような果肉を、水でふやかしてペーストにしたものが、調味料として料理によく使われます。
タマリンドに出会ったとき、「日本の梅干しに似ている」と感じました。
梅干しもまた、酸味だけではなく、塩味やうま味をあわせ持つ、日本人にとって昔から身近な食材ですよね。
本格的なエスニック料理を作りたい時、レシピに出てくるタマリンドの代用として、梅干しを使うこともできます。
日本では、なかなかお目にかかる機会がないタマリンドですが、梅干しならばどこでも手に入れることができます。
梅香るスパイスとうもろこしごはん
今回は、南インドで定番のタマリンドライスからヒントを得て、日本の梅干しでアレンジした一皿を作りました。
タマリンドライスとは、
ごはん(バスマティライス)、豆類(ダール)、ピーナッツ、スパイス(マスタードシードやカレーリーフ、ヒング、ターメリックなど)などと、タマリンドを炒め合わせたもの。
タマリンドの酸味が食欲をそそる、南インドの定番料理です。
夏が旬のとうもろこしを、豆の代わりに。なじみのないスパイスは使わず、手に入れやすいクミンで構成しました。
とうもろこしごはんといえば、炊き込みスタイルのシンプルなものが定番ですが、こちらは炒め合わせるネオとうもろこしごはん。
旬のとうもろこしの甘み、豚肉のうま味、そして梅の爽やかな酸味。
ナンプラーをほんのり効かせることで、どこかエスニックなのに、食べやすい。
ほのかな酸味で食が進む、夏にぴったりのごはんができました。
【梅香るスパイスとうもろこしごはん】

調理時間:約15分
材料(約2人分)
- 温かいごはん
- 1合分(約330g)
- とうもろこし
- 1本
- にんにく
- 1片
- ししとう
- 4個
- 梅干し
- 2個
- パクチー(または大葉)
- 適量
- 豚ひき肉
- 150g
- ピーナッツ(素焼き)
- 30g
- クミンシード
- 小さじ1
- ナンプラー
- 小さじ2
【梅香るスパイスとうもろこしごはん】作り方
❶ とうもろこしは包丁で実を外す。

❷ にんにくはみじん切り、ししとうは1.5㎝角、梅干しは種を除いて刻んでおく。パクチー(または大葉)はザク切りにする。


❸ フライパンに豚ひき肉、クミンシード、にんにくを入れ、中火にかける。ひき肉をほぐしながら、スパイスとにんにくの香りを移すように炒める。


❹ こんがりとしてきたら、コーン、ししとう、ピーナッツを加え、サッと炒め合わせる。

❺ 刻んだ梅干しの半量と、ナンプラーを入れてひと混ぜし、ご飯を加えて軽く炒め合わせる。


❻ 器に盛り、パクチー(または大葉)と、残りの梅干しをトッピングする。

おいしく作るポイント!
梅干しは半量を味付けに加えてさっぱり感を、半量はトッピングとして食べ進めながら味のコントラストを楽しむのがおすすめです♪
梅干しによって塩気が異なるので、ナンプラーの量は味をみて調整してください。
ししとうは代わりに、ピーマンやパプリカでも。
夏バテ対策に!管理栄養士もおすすめの組み合わせ
ご紹介した「梅香るスパイスとうもろこしごはん」に使った食材は、どれも夏バテ対策にぴったりのもの。
栄養学や東洋医学的な視点などからも解説します♪
①ごはん(お米)
身体を動かすための大切なエネルギー源。おかずとも合わせやすく、バランスの良い食事の土台になります。
麺類よりも、お米のほうがよく噛んで食べることができます。しっかりと咀嚼することで、血糖値の上昇がゆるやかになり、エネルギーも持続しやすくなります。
「噛む」という行為自体が、副交感神経を優位にし、自律神経を整えてくれるので、夏バテ予防にも繋がります。
また、漢方では、お米は「気(エネルギー)」を補い、胃腸を整える食材といわれています。お米を食べるということは、身体に気を取り込むということ。
昔、「気」という漢字が「氣」と書かれていたように、日本人の元気の源はお米です。
「气」は生命の源泉という意味合いがあり、それをお米が養うことから、このような漢字になったともいわれています。
② 豚肉
豚肉には、糖質をエネルギーへ変える働きを助けるビタミンB1が豊富。疲労回復やだるさの改善に役立ちます。
ビタミンB1が多い食材には、豚肉、うなぎ、レバー、さば、豆類、ナッツ類、玄米などがあります。
中でも豚肉は、どこでもお手頃な価格で手軽に手に入り、扱いやすい点がおすすめです。
また、にんにくの香り成分アリシンが組み合わせることで、よりビタミンB1が体内で効率よく活用されます。
③梅
日本の夏に欠かせない梅。昔から日本の夏の食卓に親しまれてきた食材で、爽やかな酸味が食欲を引き出します。
薬膳では、梅の酸味には「生津(せいしん)」という、汗で失われた体液を補う働きがあるといわれています。
梅に含まれるクエン酸は、疲労物質の分解に役立つ他、ミネラルの吸収促進、血流改善などにも。
クエン酸は梅干しの他、レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類、パイナップルなどにも豊富に含まれています。
④とうもろこし
旬ならではの甘みと食感が魅力。鮮やかな黄色は、見た目にも夏らしさを感じさせてくれます。
薬膳では、とうもろこしは「平性」の性質をもち、身体を冷やし過ぎず温めすぎない、穏やかさを持った食材です。昔と違ってクーラーが必須の現代では、夏に身体を冷やす食材ばかり摂るのも考えものです。
とうもろこしは胃腸の働きを助け、余分な水分を排出する「利水」のはたらきがあるため、湿度の高い日本の夏にぴったりの食材です。
⑤ピーナッツ
ナッツは食感のアクセントになることはもちろん、ビタミンB1やビタミンE、マグネシウムなども含まれています。常備しておいて、おやつやおつまみでけでなく、料理にちょい足しできるのも魅力です。
⑥クミン
エスニック料理には欠かせない代表的なスパイス。少量でも香りが立ち、食欲をそそります。
香りは、食欲を刺激する大切な要素のひとつ。暑い地域の料理にスパイスが多く使われるのも、そんな知恵のひとつです。
クミンはスーパーなどでも比較的手に入りやすく、日常的にも使いやすいので無駄なく使いきることができます。
⑦パクチー(香菜)
爽やかな香りが一気にエスニック感を底上げしてくれます。スパイスとまた違う、フレッシュハーブにしかない爽やかな生命力にあふれた香りが、食欲が減退しがちな季節にぴったりです。
薬膳では、気の巡りを整え、胃腸のはたらきを助けます。
独特のクセが苦手な方も多いハーブなので、大葉やネギなどで代用しても。
夏バテの仕組みや、夏も麺よりごはんがオススメの理由はこちら→【暑い日のごはん】夏バテでも進む、簡単ヘルシー飯・ひんやり冷奴丼
スパイスご飯におすすめのお米
スパイスご飯には、あっさり、粘りの少ないお米がおすすめです。お米マイスターが厳選した3商品をご紹介します。
渡部洋巳さんの山形県高畠町産はえぬき(特別栽培米)
輪郭がはっきりしており、噛み心地はサクサクと歯切れの良い食感。あっさりとしておりお寿司におすすめです。大粒でインパクトがあり、粘りの少ない、すっきりとした上品な味わいで、具材の旨味を引き立たせます。
しもむら農園さんの佐賀県小城市産
さがびより(期間中農薬・化学肥料不使用)
『さがびより』は粒が大きく、しっかりとした粒感が特徴で食べ応えのあるお米です。農薬不使用栽培がとても難しい品種であり、手間ひまかけて丁寧に育てた非常に貴重なお米です。
主穂営農(奥村知己)さんの
岐阜県岐阜市柳津町産ハツシモ
大粒で見た目にもインパクトのあるお米です。シャッキリと炊き上がり、食べ応えのある粒感を楽しむことができます。甘さは上品で、すっきりとしているため炊き込みご飯にもぴったりのお米です。











