美味しいお米の代表コシヒカリ
コシヒカリは、福井県が多収品種として育成し、1956年に「農林100号(農林22号と農林1号の交配種)」として品種登録されました。〜越の国に光り輝く品種〜となる願いを込めて、コシヒカリ、と命名されています。越の国とは、昔の北陸地方の勢力圏のことを意味しており、現在の、福井県・石川県・富山県・新潟県・山形県の一部が、越の国のエリアとなります。
いまやコシヒカリは、東北や北陸だけでなく全国で栽培されています。日本において1979年から水稲の作付面積第1位を維持しており、2013年産の水稲の作付面積でもコシヒカリが全体の36.7%を占め、2位ひとめぼれ9.6%に大差をつけています。つやがあり、粘りも強いお米で、 今や美味しいお米の代名詞となっています。現在、日本で栽培されている稲は、コシヒカリの子や孫、ひ孫などの関係に当たる品種がほとんどを占めています。これはコシヒカリの食味を活かして品種改良が活発に進められた結果とも言われています。
コシヒカリの美味しさの理由
美味しいお米の判断基準としてお米の粘り気は大事な要素の一つです。このお米の粘り気を左右するのが、デンプンの成分と言われています。お米のデンプンは、アミロース(グルコースが直鎖状に結合)とアミロペクチン(グルコースが枝分かれして結合)の2つから構成されています。お米に含まれるアミロースの含有量が少ないほど粘りが強くなります。コシヒカリの含有量は16〜19%ほどで他品種よりは比較的少ないお米です。日本人は粘り気の強いご飯を好む傾向にあり、コシヒカリの人気の秘密は、この強い粘りにあるといえます。
一方、コシヒカリは、食味が良い反面、お米農家にとっては育てにくい品種の一つと言われています。稲の丈が高いため倒れやすく、いもち病といわれる多湿低温の年に多く発生する病害に弱いという難点があります。主要産地である新潟県では、いもち病に強い「コシヒカリBL」という品種を導入するなど、従来のコシヒカリの食味を保ちつつ、さらに各地の風土にあった育てやすい品種を作ろうとする動きが広まっています。
全国各地に広がる美味しいお米の開発
日本穀物検定協会が実施した平成26産の米の食味ランキングで最高評価「特A」を獲得した42銘柄は、米どころの北陸・東北地方だけでなく、四国や九州地方からも選ばれています。これは、品種改良が進んでいるのと、全国各地の農家の研鑽によりお米の品質が向上してきた結果といえます。
最近では、多くの品種のお米を百貨店やお米通販サイトなどで目にする機会が増えてきたのではと思います。そこで見られる品種のそのほとんどは、コシヒカリの系統です。あきたこまち・ヒノヒカリ・ひとめぼれはコシヒカリと掛け合わせることで誕生した代表的な品種です。これらの品種は近年、コシヒカリを筆頭に水稲の作付面積の上位を占めています。今後もコシヒカリの食味の良さを保ちつつ、全国各地の気候や土壌にフィットし、美味しく丈夫に育つ新品種の開発が進められていきます。今後も日本人好みの美味しいお米の誕生が期待されています。