
「ごはんが美味しい店」は、それだけで強い。
一方で近年は、米価の上昇・調達不安・品質のブレが“経営課題”として表に出やすくなっています。
このコラムでは、飲食店が抱えやすい悩みを整理しながら、
「銘柄(品種)の選び方」と「仕入れ先の選び方」、そして鮮度で差がつく運用ポイントまで、実務目線でまとめます。
目次
飲食店が抱える「お米の悩み」は、大きく3つ
1)原料の原価が上がる(でも値上げしづらい)
米は主食メニュー(定食・丼・弁当・コースの締め)に直結します。少しの値上がりでも利益に響きやすいのが現場のリアルです。
原価が上がりやすい理由は、仕入れ単価だけではありません。
・相場上昇による「仕入れ単価」そのものの上振れ
・炊飯ロス(炊き過ぎ/保温劣化/廃棄)による見えない原価
・洗米〜炊飯のオペレーション(人件費・水道光熱)の増加
たとえば、1kgあたり+100円の上昇でも、月300kg使うお店なら月+30,000円の増加になります。価格転嫁が難しい局面ほど、品種選定と運用で「全体的な原価」を下げる視点が重要です。
2)味がブレる(炊飯担当の属人化)
「同じ銘柄のはずなのに、今日は硬い/やわらかい」「香りが立たない」、
こうしたブレの多くは、次の要因で起きます。
・精米日(鮮度):精米後は酸化が進み、香りや甘みの立ち方が変わる
・保管:高温多湿/開封状態が続くと、におい移り・水分変化が起きやすい
・吸水条件:水温・浸漬時間・洗米方法で、同じ米でも吸水量が変わる
・炊飯機器:炊飯器の癖、保温温度、釜の状態(汚れ・劣化)で仕上がりが変わる
「米の選び方」だけでなく、ブレを起こしにくい仕組み(精米日・保管・炊飯条件の標準化)が、リピート率を支えます。
3)調達が不安定(欲しい時に同じ米が入らない)
調達が不安定になる背景には、作柄(天候)による収量変動、需要の増減、流通在庫の偏りなど、複数要因が絡みます。結果として、
・同じ銘柄が確保できない
・突然単価が上がる/納期が延びる
・代替米に切り替えたら味が変わってしまう
といったリスクが起きます。
対策としては、「1ルート・1銘柄依存」を避け、
・代替候補(近い食感・用途)「第2銘柄」を事前に決める
・用途別に米を分ける(白飯用/丼用など)
・必要に応じてブレンド(食感の安定)も選択肢に入れる
など、調達の設計を持っておくことが有効です。
解決策①:銘柄(品種)は「メニュー適性」で選ぶ
飲食店の米選びは、「何に合わせるか」がすべてです。まずは、店の主力メニューに対して「粘り」「粒感」「香り」「冷めた時の食感」の優先順位を決めると、選定がブレません。

1)和食・定食:バランス型で“毎日食べても飽きない方向へ
白飯が主役になりやすい業態は、総合力と安定感が鍵です。
・コシヒカリ:甘み・粘り・香りの総合力。白飯で勝負したい店に。
・ひとめぼれ:やさしい甘みとまとまり。幅広い客層に受けがいい万能型。
※粘りが強く感じる場合は、水加減や浸漬を短めにして調整。
長野県安曇野の浅川さんちのお米
(コシヒカリ/特別栽培米)
生産地は北アルプスの山々を望む安曇野市。豊富な雪解け水や湧水によってこのお米は育まれていきます。甘く香り、ハリのある粒感と歯切れのよい食感が心地よいお米です。
田和楽さんの山形県鶴岡市産
ひとめぼれ(特別栽培米)
一言で言うならコシヒカリとササニシキを合せた食味です。その知名度は高く、現在コシヒカリに次ぐ生産量です。適度な粘りや甘味を持ちつつさっぱりしたオールマイティーなお米です。

2)丼・カレー:タレやルゥに負けない「粒感」と「ほぐれ」
丼やカレーは、具材・タレ・ルゥと一体になって美味しいことが大事。
粘りが強すぎるともたつきやすいため、粒立ち・ほぐれの良さを重視すると設計が安定します。
・あきたこまち:ほどけやすく、タレもの・ルゥ系でも口の中でまとまりやすい
・ヒノヒカリ:粒感が出しやすく、丼・定食兼用にも向く
※「粒感」を出したい場合は、浸漬を短めにし、水加減を気持ち控えめにするだけでも印象が変わります。
粋き活き農場さんの秋田県大潟村産
あきたこまち(特別栽培米)
20年の歳月をかけ干拓し生まれた広大な大地で育む絶品あきたこまちです。農薬と化学肥料の使用量を抑えて丁寧に育てた特別栽培米です。ころんとした粒感で、舌触りも良く、粘りすぎずあっさりとした味わいを楽しむことができます。
猩々農園さんの鹿児島県伊佐市産
伊佐のお米(ヒノヒカリ)
南国の太陽をいっぱいに浴びながらも、昼夜の寒暖差によってしっかりと旨みが凝縮されたお米です。炊き上がりはつややかで、粒立ちがよく、ふっくらとした食感。程よい粘りとやさしい甘みが特徴です。

3)寿司・和食コース:冷めても美味しい/香りが立ちすぎない
酢飯やコースの締めは、香りが強すぎると料理を邪魔することがあります。
「冷めても美味しい」「口の中でほどける」方向で、銘柄を合わせると完成度が上がります。
・ササニシキ:軽やかさ重視の場合、さらりとした後味を作りやすいです。お寿司との相性も抜群です。
・雪若丸:大粒でしっかりとした食感があり、さっぱりした喉越しの雪若丸がおすすめです。
・ハツシモ:大粒ですっきりした味わいであるため、お寿司との相性もよく高級寿司店でも使われているお米です。
ポイント:銘柄名だけで決めず
・提供温度(炊きたて/保温/冷め)
・米の役割(主役/脇役)
・1日の提供数(炊飯回数)
を前提に、候補を2〜3種に絞って試炊き→採用が失敗を減らします。
斎藤睦彦さんの山形県鶴岡市産
ササニシキ(特別栽培米)
東北でも有数の米どころ、庄内産のお米。今では栽培が非常に少なく、希少価値の高い一品。あっさりとした食感で飽きのこない旨み、スッキリした甘みが広がり、お寿司や和食にピッタリです。
佐藤ファーム(佐藤和久)さんの
山形県米沢市産雪若丸(特別栽培米)
お米のコンクールで数々の受賞経験のある農家さんの作る雪若丸です。山形県の南部に位置する米沢は、四方山々に囲まれた自然豊かな環境です。大粒でしっかりとした食感があり、粘りが少なくさっぱりした味わいです。
主穂営農さんの岐阜県岐阜市柳津町産
ハツシモ『つちのおと』
(栽培期間中農薬化学肥料不使用)
粒が大きく「甘味」があり「食感」も良く、粘りが強くないのでシャリを切った時に「米粒が崩れない」「冷めても味が落ちにくい」お寿司に最高のお米です。農薬・化学肥料・除草剤を一切使用せず栽培されました。
解決策②:仕入れ先は「価格」だけでなく「ブレの少なさ」で選ぶ
ここでいう「ブレ」は、主に2つです。
・価格のブレ:相場変動で仕入れ単価が上下する
・品質のブレ:精米日・保管・ロット差で炊き上がりが変わる
飲食店にとって重要なのは、「安い仕入れ先」よりも、
「同じ味を同じ条件で出し続けられる」仕入れ先です。選ぶ際は、次の確認が効きます。
・精米日/ロット管理:精米日の提示、入替のサイクル、保管環境の説明があるか
・欠品時の代替提案:近い食感の代替候補を提案できるか(突然の切替で味が変わらないか)
・納品リードタイム:急な増量・繁忙期に対応できるか
・小ロットの融通:少量で試せるか(失敗リスクを抑えられる)
・産地情報の整理:表示や伝達の相談ができるか
仕入れルート別の特徴
1)スーパー購入
メリット:すぐ買える/小ロット調整が楽
デメリット:価格変動を直に受ける/精米日や銘柄の揃いが不安定/欠品リスク
2)卸業者・業務用米問屋
メリット:納品が安定しやすい/業務用規格で揃えやすい
デメリット:銘柄が限定されることがある/提案が「価格中心」になりやすい
3)街の米屋(地域の米穀店)
メリット:要望を伝えやすい/ブレンド対応など柔軟
デメリット:保管設備や提案力は店舗差が出る
4)産地直送・通販(生産者直送/セレクト型)
メリット:品質・ストーリーで差別化しやすい/ごはんが美味しい店を作りやすい
デメリット:提案者の目利きが重要/オペレーションに合う設計が必要
品質・技術:飲食店は「精米日」と「保管」で味が変わる

お米は生鮮食品に近いと考えると、品質設計がしやすくなります。
1)精米日の考え方:新しいほど、香りと甘みが立ちやすい
精米後は酸化が進むため、同じ銘柄でも印象が変わります。
・可能なら「精米日が分かる」仕入れにする
・店内では、開封後は密封し、香り移りを防ぐ
・在庫は「回転」を意識し、必要以上に抱えない
2)保管温度の目安:高温多湿を避ける
一般に、低温保管は古米化(品質劣化)を抑えるとされ、低温倉庫では温度15℃以下、湿度70〜75%が目安として紹介されています。
店内保管でも、直射日光・高温多湿を避け、密封・小分けなどで香り飛びを抑えると「炊き上がりの差」が出ます。
3)産地情報(トレーサビリティ):外食は「米飯類」で伝達が必要
米飯類の産地情報は、メニュー表・店内掲示・WEBなどで伝え方を設計しておくと安心です。
「どこのお米か」を言える店は、それ自体が信頼と価値になります。
コスト・経営:1膳あたり原価はこう見る
米の原価は、ざっくりこの式で考えると現場に落ちます。
1膳原価(概算)= 1kg単価 ×(1膳の生米使用量g ÷ 1000)
ここに「無洗米で節水」「炊飯・洗米の手間削減」「ロス削減」を掛け合わせると、実は「米単価だけ」よりトータルで効いてきます。
ツナギができること:飲食店の「味」と「安定」を、仕組みで支えます

ツナギでは、全国各地の生産者米を取り扱いながら、お米マイスター・米食味鑑定士(お米のソムリエ)の目利きで、用途に合うお米選びをサポートします。
「白飯を強くしたい」「丼で粒感を出したい」「寿司で口ほどけを整えたい」など、メニュー・オペレーションに合わせて候補を絞り、試炊き前提で失敗しない導入を設計できます。
また、産地や栽培背景の整理、伝え方(メニュー・POP・WEB)まで含めて、「価格ではなく価値で選ばれる」設計を一緒に作れるのも強みです。
こんなご相談が増えています
・「定食の白飯を強化したい(リピートを増やしたい)」
・「丼・弁当で、タレに負けない粒感が欲しい」
・「米価が動く中でも、品質と原価のバランスを取りたい」
・「産地情報も含めて、お客様に伝わる形にしたい」
お問い合わせ時に共有いただくと提案が速くなります
・業態(和食/丼/カレー/寿司/弁当 など)
・1ヶ月の使用量(kg)と希望納品頻度
・ごはんの役割(主役/脇役)と理想の食感
・現状の課題(コスト/味ブレ/欠品/オペレーション)
・ご予算感(1kgあたりの目安でもOK)
最後に
「お米」は、価格で選ぶと同じ土俵になりやすい一方、味と説明(産地・鮮度・選定理由)が整うと、飲食店の価値そのものになります。ツナギの法人・飲食店様向け窓口では、メニューと運用に合わせたお米選びからご相談いただけます。
ツナギ流!美味しいお米の炊き方の動画をツナギyutubeチャンネルにてアップしています。
ぜひ動画も参考にしてみてください。
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